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性的な多様性を保障するしくみを作りたい [性的な多様性・LGBTI]

(2010年3月17日(水)の活動日記その2)

● 性的な多様性を保障するしくみを作りたい

 横須賀市議会では、1年ごとに所属する委員会を交代する仕組みです。

 そこで今日が今年度のフジノにとって
 教育経済常任委員会として最後の日でした。

 委員会というのは4つあるのですが
 毎年、大会派から順番に割り振られていくので

 フジノのような無所属は
 どの委員会に所属できることになるのかは、
 全く分かりません。

 だから、今日がフジノにとって政治家人生を通じた最後の
 『教育経済常任委員会』になる可能性もあります。

 そこで、最後ならばどうしても質疑をしておきたかったのは、
 この2つについてでした。

 第1に『性的な多様性の保障』について。

 第2に『メンタルヘルス・リテラシー教育の導入』についてです。

 どちらも政治家フジノにとって、本当に大切なテーマです。

 まず、いわゆる『性的マイノリティ』とされる方々について言えば、
 幼少期や思春期に置かれた環境によって
 こどもたちの人生が大きく変わってしまうことがあります。

 その環境を少しでも良いものにすることは
 政治家として当たり前の仕事だと信じています。

 いわゆる『性的マイノリティ』とされる方々のいのちを守る為にも
 『性的な多様性の保障』が絶対に不可欠なのです。

 そんな訳で、予算審議が終わった後に行なった
 今年度最後の質疑の一部をご紹介します。


 (2010年3月17日・教育経済常任委員会・フジノの質疑より抜粋)

 <フジノ>
 いわゆる『性的マイノリティ』とされるこどもたち、
 『性的な多様性の保障』についての質問です。

 まず1点目ですが、

 新年度予算の中で、市民部人権・男女共同参画課の取り組みとして
 『(仮称)横須賀市人権施策推進会議』が開催される予定ですが

 この会議に教育委員会からはメンバーとして
 参加は予定されているんでしょうか?

 <学校教育課長の答弁>
 学校教育課の方から
 参加をする形ですすめております。

 <フジノ>
 その際に、教育委員会から提案をしたり
 これを議題としてほしいというようなイメージというのは
 ある程度あるのでしょうか。

 <学校教育課長の答弁>
 『性的マイノリティ』の部分ということに
 限定した訳ではございませんけれども

 やはりこどもを含めた人権問題というのは
 非常に大きな要素を持っておりますので

 そういった部分についても
 新たな提案ということではございませんけれども

 現状のものをどうやって定着させていくかということについては
 検討の中に加わっていきたいというふうに考えております。

 <フジノ>
 (こどもの人権)全般的なことを提案していくということで
 理解はしておるんですが

 ぜひ『性的な多様性の保障』についても
 積極的にとりあげていただきたいと思います。

 先日、毎日新聞で2月12日に1面で大きく報道されて
 教育関係者の方々に大きな衝撃をもって受け止められたニュースとして

 埼玉県の公立小学校において
 『性同一性障害』と診断された小学2年生の男児(8才)に対して
 学年の途中から女児としての登校を認めているということが分かった、と。

 (2010年2月12日・毎日新聞・朝刊より一部抜粋)
12mainichi.jpg

 本来、こういうことについては国のしっかりとした指針が示されて
 実態が把握されて、指針が策定されて、

 学校現場に判断をおしつけないということが
 在るべき姿だと思うのですが

 今のところ、国の動きが見えてこない中で
 こういうことっていうのはどんどん増えてくると思うんですね。

 そんな時に、横須賀市の教育委員会においては
 研修もすでに行なわれておりますし

 実際に性的マイノリティの方々の大学生と
 教育長をはじめ部課長にお会いしていただいた、
 ということもありました。

 そこで、まず1点目としては
 先ほどの『人権施策推進会議』においてもテーマとして
 積極的にとりあげていっていただきたい、ということ。

 そしてもう1つは、こういった問題は
 今後、現実のものとして起こっているし起こりうると思いますので

 横須賀市教育委員会としては
 どんなふうに対応をお考えになっておられるのかということを
 うかがいたいと思います。

 <学校教育課長の答弁>
 藤野議員がおっしゃったように
 すでに昨年度・今年度と
 教員に対する研修を2年間、実施をしております。

 昨年度の校長会議の中でも
 特に『制服』の扱いの問題につきましては
 当該の保護者あるいは本人とも十分に話をしながら対応するように
 ということで進めているところでございます。

 次年度につきましても同じように
 まず教員の意識を高めていくような取り組みを
 さらにすすめていきたいと考えております。

 人権施策推進会議の中でも今お話したような中身につきまして
 教育委員会としても話し合っているということにつきまして
 報告してまいります。

 <フジノ>
 今、課長から頂いた御答弁というのは
 とても納得できるものなのですが
 まず教員のみなさんの意識と理解を深めていただく、と。

 日頃カミングアウトできない方々が
 一番最初に相談するのがやっぱり先生ということなので
 先生がばっちり支えてくれるというのが一番安心だと思うのですが

 (けれども)最近も当事者の方々とお話をしていると

 「そういう『実をとる研修』はありがたいのだけれども
  やはり「性的マイノリティに対応する」と銘打った窓口があると
  ありがたい」

 という声をよくうかがいます。

 「相談をしてもらえれば、横須賀市はかなり対応をやっているんですよ」

 というお話を(僕は)するんですが

 「やはり、例えば、教育相談の中で
  性的マイノリティの相談を受けてますよというふうに名乗ってほしい」

 と言われることがあります。

 そういう意味では『実をとる研修』を
 ずっとやってきていただいているのですが

 対世間という意味で『性的マイノリティ』の方々に
 「性的な多様性を保障していくよ」ということを
 教育委員会として打ち出していく予定は無いでしょうか。

 <生涯学習部長の答弁>
 この問題というのは先ほど藤野議員がおっしゃったとおり
 カミングアウトがなかなかできない。

 学校の1つの対応としては
 本人もそうですけれども
 保護者と一緒にその子を育てていかなくてはいけないという中で

 その中でもちろんその子に寄り添って教員は動いていく訳ですけれども
 保護者との対応ということも
 いろいろ考えていかなければならないのかなと。

 したがいまして、『個々対応』の中で
 人権ということは前回の委員会の中でも
 教育長は「人権を一番大事にしていきたい」ということで
 それはもう全く変わっていないところでございます。

 その子の持っている人権というものを大事にしていきながら
 『個々対応』の中で進めていきたいなというふうに思っています。

 全てこの相談内容を明らかにしてということは
 なかなか難しいのかなというふうに思いますけれども

 どんな相談が来ても寄り添っていくということだけは
 これは確かですので

 そういった形の中ですすめていきたいなと思っております。

 <フジノ> 
 対応・対策を『個別』に万全にやっていくという姿勢は
 揺らぎの無いものをこの数年間感じさせていただいていて
 そこへの信頼というのは変わらないのですが

 相談の内容、
 そもそもこういうことを相談してよいのか分からない
 というような方々がたくさんおられるので

 対外的な意味で名称を出したり
 相談内容の中の一項目に広報物の一部なんかに
 性的マイノリティの方の相談というものを
 そろそろ入れていただきたいなという想いを持っております。

 できれば研究や検討をしていただきたいなと思いますが
 いかがでしょうか。

 <生涯学習部長の答弁>
 教育相談の1つの中に様々なものが入りますので
 その中にどう入るのかどうかということも含めて
 研究させていただきたいと思います。

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 残念ながら平行線のままに今年度の議論は
 終わってしまいました。

 教育委員会の側はあくまでも『個別に対応する』ことを主張し、

 フジノは『性的な多様性を市として保障すると明言すること』を
 主張し続けるという形となりました。

 くりかえしフジノが訴えてきたとおり、
 横須賀市と教育委員会は『性的な多様性』をしっかり守ってほしいです。

 何故なら、すでに横須賀市は『人権施策推進指針』を打ち出しており
 (http://www.hide-fujino.com/diary/2009/feb3.html#090209-3

 その中にいわゆる『性的マイノリティ』とされる方々に関しても
 人権課題として位置付けているからです。

 学校現場の先生方お1人お1人の判断に任せずに
 (別の言い方をすれば、先生1人に押し付けずに)

 教育委員会として、横須賀市として、
 万全なバックアップ姿勢を取るべきだとフジノは主張し続けます。


● 人生の先輩もまた闘っている

 市議会での議論を終えて事務所に戻って
 新聞を読み込んでいました。

 すると、毎日新聞に
 『自殺』と『性同一性障害』の関係について記したコラムがあり
 とても目を引かれました。

 下に引用させていただきます。

 (2010年3月17日・毎日新聞・朝刊より)
17mainichi.jpg

 「自殺」を減らすならば


 「いきなり手荷物を検査され、何事かと思いました」。

 東京で今月あった自殺と貧困のシンポジウムに参加した知人の話だ。
 市民団体の主催で気軽に出向いたが、
 会場に入ると鳩山由紀夫首相、長妻昭厚生労働相、
 福島瑞穂内閣府特命担当相が勢ぞろい。厳戒の意味が分かったという。

 政府は自殺者の多い3月を対策強化月間として、
 中高年男性のうつ病早期発見キャンペーンなどに乗り出した。

 父親が娘に「お父さん、最近眠れてないんでしょ?」と言われて
 はっとするというCMを見た人もいるだろう。

 年間3万人の自殺者の大半は働き盛りの男性や高齢者が占める。

 でも最も憂うべきは、
 小さなうちに抱えきれない悩みを背負った子どもたちではないか。

 少子化が嘆かれる時代に毎年600人近い未成年者が自ら命を絶つ。
 かなり深刻なことだと思う。

 動機の1つとして専門家に指摘されてきたのが、
 性同一性障害(GID)だ。

 自分は女の子のはずなのに、なぜ体は男なのか。
 男子の制服を着たり、男子トイレに入るのがつらいけれど、誰にも言えない。

 成人後にGIDと診断された半数以上が
 就学前から心と体の性の不一致に苦しみ、
 7割が自殺を考え、
 2割は実際に試みたり自傷行為に及んだとのデータもある。

 ところが、この問題への鳩山政権の対応はあまりにつれない。

 児童・生徒のつらさを和らげようと知恵を絞る学校がある一方で、
 全く理解のない学校もあるのに、各校の対応に任せきっている。

 自殺問題では対策に欠かせない統計の乏しさが指摘され、
 最近やっと動機のデータなどがそろってきた。
 子どものGIDも、国としてまず実態を把握すべきだ。

 (引用終わり)
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 読み終えて、ささやかな感動を覚えました。

 このコラムを書いた磯崎記者の想い・主張は
 まさにフジノの想い・主張と一致していました。

 この活動日記で記すのは初めてのことなのですが
 かつて就職活動をしていた21歳のフジノは

 毎日新聞の磯崎由美記者に会っていただきました。
 いわゆるOB・OG訪問です。

 今から14年前、フジノは新聞記者を目指していました。
 大熊一夫さんのように精神保健医療福祉のルポを書けるような
 ジャーナリストになりたかったのです。
 (http://www.hide-fujino.com/diary/2003/nov2.htm#journalist

 けれども、新聞記者になるにはどうしたらよいのか、
 全くわかりませんでした。

 そこで、ふだん読んでいた新聞の会社に片っ端から電話をかけて
 気になる記事を書いていた記者の方に
 ひたすら会ってもらえるようにお願いをしまくったのでした。

 どこの馬の骨とも知れないフジノの無謀なお願いは
 ことごとく断られ続けたのですが
 何とこころよく会って下さった方々もいました。

 その中のお1人が、毎日新聞・磯崎由美記者でした。

 磯崎記者は当時から優れた視点で記事を書いていらして
 気になる記事があるといつも署名は「磯崎由美」となっていました。

 だから、実物にあっていただけることになった時は
 それはかなり緊張したことを覚えています。

 それから14年が経って、フジノの肩書は
 残念ながら新聞記者ではありません。

 けれども、あの大学時代にとても親切にアドバイスをくださった
 『人生の先輩』が今もバリバリ活躍しておられることを
 今も毎日新聞を読むたびにフジノは知るのです。

 そして、僕も負けてはいけないと改めて感じるのです。

 今日のコラム、本当にうれしかったです。

 磯崎記者からすればたった1度(いや、2回かも)会っただけで
 その後は14年間音信不通のヤツから

 その記事を励みにがんばっていると
 いきなりHPに書かれても、困ってしまいますよね...。

 でも、『自殺』と『性的な多様性の保障』について
 尊敬する人生の先輩が同じように関心を持って下さっていることを
 こころからうれしく感じました。

 ますますフジノはがんばっていこうと感じました。

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 と、このことを毎日新聞の複数の知り合いにつぶやいたら
 「磯崎記者に会ってもらえばいいのに。でも忙しい方だよ」と言われました。

 確かに、14年前のように「会って下さい!」と
 お願いしてみるべきですね(汗)。

 僕は、たくさん御礼を伝えなければいけないですね。

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