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虎井まさ衛さんと横須賀市が本気で話し合った [性的な多様性・LGBTI]

(2008年11月4日(火)の活動日記その5)

● 虎井まさ衛さんと横須賀市が本気で話し合った

 虎井さんの講演が終わると、質疑応答になりました。

 熱の入った講演で予定の時間も超えていたこともあって
 5人ほどの質問で終わりました。

 終了後、会場内の他のお客さんが帰った後も
 フジノは配布されたアンケートへの回答を書いていました。

 こういう機会を教育委員会がつくったこと、
 講師として最適な方を選んだこと、
 講演の内容もとても分かりやすく率直なものであったこと、
 そうしたこと全てに感謝していることを記しました。

 アンケートを提出する時に
 教育委員会の方に

 「最後まで教育長は講演を聞いていらっしゃいましたよね?」

 と尋ねると

 「そうなんです、フジノ議員!
  すぐ後に別の用事が入っている為に
  終了と同時に会場を出ましたが、最後までいらっしゃいました」

 との返事でした。

 やっぱり教育長、気合いが入っている。
 うれしい。

 「虎井さんに僕からも講演の御礼を申し上げたいのですが...」

 と言うと、控え室に案内してくれました。


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 控え室に入ると、虎井さんと共に
 教育委員会(生涯学習担当)メンバーだけでなく
 わが市の人権・男女共同参画課長も来てくれていたのでした。

 手前ミソですが、異動で今年から来た
 人権・男女協同参画課長は
 性的な多様性の保障に取り組むという意欲を感じます。
 (先日、横浜SHIPのパンフレットを持っていった時もそう感じました。
  http://www.hide-fujino.com/diary.htm#heknew

 虎井さんと市側メンバーの許可をいただいて
 フジノも同席させていただきました。

 さっそくフジノが名刺をとりだして

 「虎井さん、突然おしかけてすみません。
  横須賀市議会議員の藤野英明と申します。
  このたびは、講演を引き受けて下さってありがとうございます」

 と述べると、

 「藤野さん、存じ上げていますよ。
  お会いできてうれしいです。ブログ、拝見しています」

 と、虎井さんからありがたいお言葉が!

 プロの作家であるだけでなく、
 性的な多様性の保障の為にまさに闘ってきた
 虎井さんに、そんな言葉をかけていただけるなんて光栄です...。

 フジノが政策として性的な多様性の保障について
 本格的に勉強を始めたのは
 まだまだ数年程度のことなのですね。

 そんなフジノでも、日本でのこの課題の歴史を調べれば
 虎井さんの存在や活動というのは、すさまじく大きな存在なのです。

 ドラマ『金八先生』第6シーズンの上戸綾さん演じる
 性同一性障害の生徒のストーリーによって

 日本全国にあっという間に
 性同一性障害という存在が知れ渡りました。

 もちろん、脚本家の存在があったからこそ、とか
 『金八先生』シリーズの存在があったからこそ、とか
 いろいろな見方はあるとは思います。

 でも、あの第6シーズンが日本全国に受け入れられたのは
 それが実話に基づくということが、大きかったはずです。

 そこに、虎井さんという存在があった、ということが
 本当に大きかった、とフジノは考えています。

 この国で何かの問題が大きな改善を迎える時、
 いつも誰かしら犠牲者(サクリファイス)ともいうべき存在が
 必ず存在します。

 自らのプライバシーを諦めざるをえず、
 その自らの痛みや苦しみを世間に対して包み隠さず伝えることで
 ようやくこの国では世論が動きます。

 フジノにとって虎井さんは、
 性的な多様性をわが国で保障していく道のりを切り拓いた
 大きなサクリファイスであったと受けとめています。

 権力を持つ政治家の存在でもなく、マスコミの影響力でもなく、
 ある1人の個人の苦しみや痛みが国を動かすのです。

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 虎井さんが東京に戻らねばならない予定も延期して下さって

 それから1時間にわたって、
 教育委員会&人権・男女共同参画課長&フジノは
 虎井さんと今後の在るべき姿について
 意見交換をさせてもらいました。

 ここにはその意見交換を書けないのですが
 かなり深い議論ができたと思います。

 特に印象に残ったのは、人権・男女共同参画課長が

 「行政が本当に効果があることを取り組みたいのに
  どうしても『啓発』ばかりになってしまうのです。
  虎井さんは、実効性のある対策をどうお考えでしょうか?」

 と質問した時のことでした。

 課長はかつて広報課長だったこともあって
 広報・啓発については、プロです。

 何かの活動をやろうとすると『啓発』活動ばかりになってしまう、
 ということが往々にして全ての問題で起こります。

 例えば、自殺予防対策についても
 国の自殺総合対策会議でも

 「啓発活動主体の自殺予防を
  より実効性のある対策に変えていかねばならない」

 と、つい先日もテーマになりました。

 だからこそ、課長の言う、
 『啓発』だけではない『実効性のある取り組み』とは何か、
 という問いかけは痛いほど分かりました。

 フジノもまさに同じように毎日毎瞬間、
 いったい何を成せば実効性があるのかを必死に考えているからです。

 虎井さんという存在のおかげで
 教育・行政・政治の3者が向かっていくべき方向が
 同じ1つの道であることが改めて感じられたのは感激でした。

 最後に、虎井さんと記念写真をお願いしたら

04withMrTorai.jpg

 「こうですよね?」と、虎井さんがピースをしてくれました。
 フジノがピースをする前にです!

 このHP向けの写真をフジノがどなたかと撮る時には必ず
 どれほど昔から尊敬してきた偉大な相手であっても
 恐れずにピースをしてきたのですが

 (http://www.hide-fujino.com/encounter.html

 フジノよりも先にピースをしてくれたのは
 虎井さんが初めてでした!
 本当にありがとうございます!

 これはHPを見て下さっているというリアルな証拠ですよね~。
 それでまたフジノはすさまじく感激してしまったのでした。

 教育委員会の方々とお別れして
 生涯学習センターから逸見駅までの道のりを
 虎井さんとご一緒させていただきました。

 「こうやって講演の後に、私を囲んで
  行政と政治が一緒になって
  積極的に意見交換をしてくれたのは横須賀市が初めてですよ」

 と、ありがたいお言葉をいただきました。

 たとえリップサービスであっても
 本当にうれしかったです。

 あんまりうれしかったので、
 この言葉を今日の機会を創ってくれた教育長にすぐに伝えたくて

 用事があるから講演会終了後すぐに会場を後にして
 不在だと分かっていたはずなのに
 フジノは思わず教育委員会事務局に電話をしてしまいました(汗)。

 (当然ながら公務で不在でした...)


 虎井さん、本当に今日はありがとうございました。

 政治家としても、個人としても、
 虎井さんのような存在をこころからリスペクトしています。

 この広い世界にまるでたった1人きりで生きているような
 激しい孤独や苦しみを体験しながらも
 道を切り拓いてきて下さった方が居て下さったから

 僕たちはかつてより生きやすい社会に
 暮らすことができているのです。

 性的な多様性を保障する為に
 この国が変わっていく為に
 横須賀市からできることは全力でやっていきます。

 政治家としてフジノは
 国が動かなければ市町村には何もできない、なんて
 そんな考えを持ったことは一瞬もありません。

 だって、虎井さんのような1人の個人の生き方が
 この国を変えてきたのですから。

 横須賀市でやれることは全て
 徹底的にやっていきます。

 どうか、力を貸して下さい。
 どうか、見守っていて下さいね。

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 今月27日には、横須賀市初の
 いわゆる性的マイノリティとされる当事者の方々と
 教育長をはじめとする行政担当者との懇談会が行なわれる予定です。
 (http://www.hide-fujino.com/diary.htm#081023

 全国的にはバックラッシュの動きもあるかもしれませんが
 横須賀市は、リアルな生の声を聴きたいという姿勢を打ち出しています。

 これは、大きな前進だとフジノは信じています。

 当事者のみなさま、どうか注目していて下さい。
 そして、全てのマイノリティとされるみなさま、注目していて下さい。

 本当はこの世界に『マイノリティ』なんて存在は
 もともとありえないのです。

 人は誰もが違うのです。

 誰もが違うのが当たり前である以上、
 マジョリティ(=多数者)とかマイノリティ(=少数者)なんて
 もともとそんな分け方は成立しないのです。

 フジノは、マイノリティという概念そのものを
 この世界から無くしたいと本気で信じている1人です。

 そんな壮大な理想の前には、
 今日の講演や教育長との懇談会でさえも
 ささやかな一歩に映るかもしれません。

 けれども確実に言えることは、前に進んでいるということです。
 一緒に前に向かって歩いていきましょう。

 必ずこの国は変わるし、変えるのは他の誰かではなく、
 あなたと僕たちの力なのです。

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