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『メンタルヘルス・リテラシー教育』プログラムの導入を目指して [精神保健医療福祉]

(2010年3月9日(火)の活動日記その2)

● 『メンタルヘルス・リテラシー教育』プログラムの導入を目指して

 今日は午後から新宿へ。

 『メンタルヘルス・リテラシー教育』プログラム
 説明会に参加しました。

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 『メンタルヘルス・リテラシー』という単語は
 まだあまりにも一般的では無くて
 インターネットで検索してもほとんど出てきません。

 でも、内容は特別なことではありません。

 生きている誰もが持てるようになってほしい、
 とても大切な力のことです。

 フジノなりに説明してみますね。

 第1に、こころの健康を『理解する力』です。

 自分のこころが元気である、ってどんな状態なのか、
 逆に、ストレスがかかっていてつらい時ってどんな具合なのか、
 さらには精神疾患ってどういうことなのか。

 そんな『こころの健康』について
 正しい知識や情報を理解することです。

 第2に、こころの健康を『生みだす力』です。

 実際に、ストレスがかかってこころが苦しくなってしまった時に
 自分の力でストレス解消をして元気を取り戻したり、

 自分だけでは苦しさから抜け出せない困った時に
 まわりの人たちにサポートを求めることができるようになることです。

 なかなか日本人は他人に助けを求めることができませんが
 助けを求めることは悪いことではなくて、大切な能力なのですよ。

 そして、第3に、お互いのこころの健康を『高めていく力』です。

 他人のこころの健康についても力になることができたり、
 地域全体でみんなの元気をサポートしていかれるように取り組んだり、
 こころの健康を高めていくこともメンタルヘルス・リテラシーです。

 この説明はフジノのオリジナル版なので、
 研究者の先生によって定義は異なるかもしれません。

 この3つの力が身についている状態のことを
 『メンタルヘルス・リテラシー』がある状態なのだとフジノは考えています。

 ぜひともみんなが身につけてほしいなあと願っています。

 さて、今日の説明会は、あらかじめ関東のあらゆる中学校に
 メンタルヘルスについてのアンケートを行なった上で

 (もちろん横須賀市内の中学校もアンケートに答えてくれました)

 このプログラムに対して「関心がある」と回答を寄せてくれた
 学校の関係者の方々を対象にして開催されました。

 今日のプログラムはこちら。
 (http://www.hide-fujino.com/pdf/2010/mar/09document01.pdf

 下の画像は、説明会の冒頭であいさつをする
 大島巌先生(日本社会事業大学大学院・教授)です。

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 数年前から、大島先生や東京医療保健大学の篁(たかむら)先生らによる
 『学校メンタルヘルスリテラシー教育研究会』が立ち上げられて
 取り組みを広めていっています。

 現在すでに『メンタルヘルスリテラシー教育』プログラムは
 東京都清瀬市の市内全中学校に導入されています。

 他にも島根県などでスタートしていますが、
 これから少しずつ全国へと実績を増やしていく中で

 日本に合った、学校に合った、
 『メンタルヘルスリテラシー教育』プログラムが
 全国に導入できればと願っています。

 学校教育の中に『メンタルヘルス・リテラシー教育』を導入することを
 こころの底から強くフジノは望んでいます。

 その実現の為に政治家になった、とも言えます。

 そもそも『メンタルヘルス・リテラシー教育』というものが
 どうして必要なのかを簡単に説明をしますね。

 (思春期のメンタルヘルスリテラシー教育導入の必要性を訴える篁先生)
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 精神疾患を発病してから
 初めて治療に至るまでの期間を『DUP』と呼んでいます。
 (DUP:http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-08-002.html

 このDUPが短ければ短いほど、
 治療の経過が良い(=予後が良い)という研究結果があります。

 逆に、何らサポートが無いままにDUPを長く過ごしてしまうことによって、
 その後の治療効果が乏しくなってしまうのですね。

 そこでDUPを短かくする為の積極的な取り組みがあれば
 早期発見・早期治療へとつながって、予後が良くなっていく訳です。

 その1つの手段が、思春期をターゲットにした
 『メンタルヘルスリテラシー教育』なのです。

 中学校・高校の『思春期』には
 メンタルヘルスの様々な問題が誰にでも起こります。
 これを好発期と呼んでいます。

 しかし、わが国では好発期である中学校・高校において
 これまで適切な対応がなされてきませんでした。

 それをあらわしているデータもあって、

 思春期にメンタルヘルスの問題を抱えたものの
 日本では5~8割が援助を求めていない

 という研究結果も出ています。

 みんなとても苦しいのに助けを求めることができていない訳ですね。

 当然にDUPも長くなってしまいます。
 そうすると、病気も重くなってしまったり、長期化してしまいます。

 また、こどもたち本人が苦しいのは当然のことですが
 まわりの家族や先生たちもどうしたら良いのか分からなくて
 とても困っていることが多いです。

 (篁先生のプレゼンテーション資料はこちら
  http://www.hide-fujino.com/pdf/2010/mar/09document02.pdf

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 ところで、視点を広く世界に向けて見てみると
 いくつかの国々では早い時期に適切な介入をする取り組みが
 国を挙げてかなり熱心に行なわれています。

 例えば、イギリス・オーストラリア・カナダなどでは
 まさに国を挙げて学校と地域で取り組みを進めています。
 成果も上がっています。

 多くの人の苦しみを減らすことができるならば
 当然、わが国でもその為の取り組みを始めるべきです。

 日本では取り組みが遅れていますが
 今からでも取り組みを始めるべきなのです。

 病気になってしまっても予後を良くすることに加えて、
 差別・偏見・スティグマをも減らすことにつながることも分かっています。

 それが『メンタルヘルスリテラシー教育』なのです。

 (実際の授業風景の映像と、その説明をする篁先生)
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 また、今日のプログラムでは関東圏内の中学校へ
 送付したアンケート結果の分析も報告されました。

 (日本社会事業大学大学院の李さんによるプレゼン資料はこちら
  http://www.hide-fujino.com/pdf/2010/mar/09document03.pdf

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 フジノとしては、これから今年1年間、
 『メンタルヘルスリテラシー教育』プログラムをの実際の現場を
 じっくり見学させてもらおうと考えています。

 そして、ゆくゆくは横須賀市内の中学校・高校にも
 プログラムの導入を実現していきたいと考えています。

 実は、活動日記に書くチャンスを逃していたのですが

 このアンケートに対して、横須賀市内の複数の学校が
 「関心がある」「プログラムが必要だと考える」と答えて下さっています。

 そこで、学校メンタルヘルスリテラシー教育研究会から
 横須賀市に導入させてもらえないかと打診を頂きました。

 篁先生らが横須賀市教育委員会を訪れて
 学校教育課長に会って、お話をしてもらいました。

 現実問題としてすでに市内中学校のほとんどが
 新年度のカリキュラムを固めた後だったこともあり、

 4月からスタートする新学年での
 『メンタルヘルスリテラシー教育』プログラムの
 横須賀市への導入は実現できませんでした。

 でも、あせって始めてもうまくはいきません。

 だからこそ、フジノとしては、これから今年1年間、
 『メンタルヘルスリテラシー教育』プログラムをの実際の現場を
 じっくり見学させていただき

 改めて2011年度以降の導入を目指して提案できるように
 2010年はすでに導入している学校を1年間訪問して
 じっくり勉強させていただこうと考えています

 1人でも多くのこどもたちが元気で毎日を過ごせるように、
 仮に元気を失っても再び笑顔を取り戻せるように

 フジノなりにできることを全力で取り組んでいきます!

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